今日の戯言の後始末

「……何? 今度は何で揉めてるの?」 夕焼けの中、仲直りを果たしたカナとリョウコが、再びやいのやいのと囀る様を見ながら、ユウコは茜色の世界でもハッキリと見て取れるほどの白けた表情を浮かべるのでした。「いやだって勢いとは云え、私、リョウコのこと叩いちゃったんだもん。私もリョウコに叩いてもらわないと気がすまない!」「いやだから、その事はもう良いから…」「リョウコが良くても私が良くないの!」「はいはい、そこら辺にして恥ずかしい」 ユウコはまるでキスをねだるかのようにリョウコに頬を近づけるカナを、ふんぬべりべりっと引っ剥がすと、今日一番の肺活量で嘆息する。「じゃあ、リョウコ。お望み通り叩いてあげな」「でも…」「うん、ただし引っ叩くのは今度の大会で優勝した時にね」『え?』 顔を見合わせ頭上に?を浮かべる2人に対し、ユウコはグラウンド状態を足で確かめながら応えるのでした。「大会直前に、キャプテン副キャプテン揃って頬を腫らしてたんじゃ部員たちも訝しむし、全体の士気にも関わるわよ。…カナ」「何?」「どうしても叩いてくれなきゃ気がすまないって云うのなら、大会で優勝を決めて、皆でくちゃくちゃになってわーっと盛り上がってる最中に、誰も気が付かない内にリョウコに引っ叩いてもらいなさいよ」「……あ、それって」「うん、アンタの好きな『メジャー○ーグ』でそんなシーンあったでしょ?」