今日の感想

うん、拙PCで「しょうけい」を変換すると、まず「小計」になるわけなんすけど、ある意味小計でも合ってるような気がした今回の『卒業前小景』でございます。マリみてには結構“類似イベント”ってものが発生しますけど、今回はまさにそのオンパレードってゆーか、祐巳が薔薇の館の一員になってから起こった様々なイベントを、卒業前のリリアンのあちらこちらでなぞってみた、みたいな感を受けましたわね。

今作は『クリスクロス』での「…催促したみたい」辺りから、拍車をかけてオーラが軟化してきているように思える祥子さまが、今回では薔薇の館の面々以外への“分かりやすい軟化”を示したような出だしに感じましたわ。うん、「下級生にサインをする」とゆー行為自体は、ともすれば以前の祥子さまでも有り得た事かもしれないっすけど、令からサインを貰い終えた生徒たちが、「あの子が貰えたんだから私たちも」と若干後ろ向きな風に近付いてきたのを、苛々と拒絶することなく嘆息一つで受け入れたってのが、祥子のこの2年間、祐巳と出逢ってからの成長部分な気が致しましたわね。まぁそうなんすよね。マリみての世界で2年が過ぎたわけでございますよ。

代わって桂さんメインのお話。うん、読む前は「黄薔薇革命破局・復縁と成ったスールたちのその後」の代表としてのストーリーだと思ってたんすけど、まぁその一環もあったような気も致しますが、どちらかと言えばアレっすよね。“桂さんレイニー”って話っすよね。お姉さまが云々かんぬん、妹が云々かんぬんとテンパって悩む桂さんに、その“レイニー”を乗り越えた祐巳がアドバイスするってのは結構感慨深いものがありましたわね。これが志摩子さんだったらまた違ったアドバイスになるんだろうなあ。あと『 「当たり」と階段と階段の間から聞こえる祐巳の声』ってところは、個人的にこの巻で一番好きなシーンっすかねえ。“祐巳レイニー”の時に由乃さんに対して「その段階は終わったんだ」と叫ぶシーンと裏表な匂いがして良いのですよ。そして最後に「大したことのないこと“じゃないこと”」で大団円を迎えるってのも、祐巳の“普通”とは違う種類の“普通”である桂さんっぽい締めに感じましたわねー。

んでもって三奈子さまのお話。キーワードは「マスタード・タラモ・サンド」 気の利かない真美さんは、お姉さまのために「甘く」なれなかったとさ。どっとはらい。この話の“類似イベント”は祥子と令の連携プレイですかしらね。まぁこの2人の行動力のえげつなさ(笑)は志摩子の時に証明済みでございますが、共通している作戦は「将を射んと欲すれば先ず馬から射よ」なんすよね。乃梨子にしろ真美にしろ、とりあえず動かされるわけでございますよ。動いた結果は「直接的に姉に感謝される事は無い」ですけれども、「姉が嬉しそうだから、まぁいっか」と納得させられちゃうのが面白いところですかしらね。前・新聞部部長と友人として語りあうとゆーのは、祐巳と真美、蔦子の関係に軽く羨ましさを祥子さまたちが、“蓉子さま抱きつき”のように「最後だからやりたかった事」と捉えると、ちょっとしんみりしてしまいますねえ。

蔦子さんメイン話以降の感想はまた後日。